貴方のタイプをしっかりとお店に伝えるブログ:2018年10月20日
ママは何でも自分で作る人でした。
スーパーで売っている出来合いの惣菜や、
インスタント食品は我が家では禁止。
その頃、
テレビでインスタントの味噌ラーメンやハヤシライスの宣伝が
盛んに流れていました。
ダメと言われるとよけい食べたくなるもので、
テレビのCMを見るたびに、
いつも食べたいと指をくわえていました。
おやつなら目を盗んで買い食いできましたが、
ご飯のおかずは何でも一から手作りされてしまい、
娘にとってはいつも残念な気分でした。
兄とは並んでよく料理の手伝いをしました。
ゴマを香ばしくすったり、
茹でたじゃがいもの皮を剥いてマッシュするのは
娘の係りだと思っていましたから…
ママは必ず自分で作ったものを、
一番おいしい状態で食べさせてくれました。
それが当たり前という感覚だったようです。
得意の天ぷらは必ず熱いまま食卓に出てきました。
狭い台所だったのに、まるで魔法のように
次から次へと揚げたてが並ぶのです。
揚げたてを
おいしいうちに食べさせてあげたいというママの思いは、
そのまま料理のおいしさになっていたと思います。
親父はサラリーマンで、
連日だいたい決まった時間に帰宅しました。
親父が風呂から上がると家族そろっての夕食。
親父にはわたくしたちとは違う一品が付いていました。
今思えばその一品は晩酌用のビールの肴だったのでしょう。
素材そのものが違うこともありました。
例えば、
わたくしたちがあじの焼き魚の時、親父は蒸しかれいという具合い。
たまに親父がほんの少し料理を分けてくれるのですが、
それがすごく嬉しかったことを覚えています。
我が家には「親父の一品」が
いつも自然なものとして食卓に存在したのです。